近年人気を集める「ゆる登山」。手軽に楽しめる山登りとして多くの人が挑戦していますが、実は多くの登山者が見落としている深刻な問題があります。
それはスマホの圏外リスクです。
「低い山だから大丈夫」「観光地だから電波は通じるはず」そんな油断が、時として命に関わる事態を招くことがあります。
この記事では、ゆる登山におけるスマホ圏外の実態と、知っておくべき対策について詳しく解説します。
ゆる登山でも圏外リスクは想像以上に深刻
結論からいうと、ゆる登山でもスマホが圏外になるリスクは想像以上に高く、深刻な問題です。
標高1000m以下の低山でも、地形や位置によっては電波が届かないエリアが数多く存在します。
特に問題となるのは、多くの登山者が「大丈夫だろう」という根拠のない安心感を抱いていることです。この油断が、緊急時に致命的な結果を招く可能性があります。
適切な事前準備と圏外対策を講じることで、安全にゆる登山を楽しむことができるのです。
『ゆる登山』ブームが生んだ油断と過信
近年の登山ブームにより、ゆる登山という言葉が広く浸透しました。
気軽に始められる趣味として人気を集めている一方で、この「ゆる」という表現が安全面での油断を生んでいます。
多くの初心者登山者は以下のような誤った認識を持っています:
- 低い山なら電波は必ず通じる
- 観光地化された山は通信環境が整備されている
- スマホがあれば何とかなる
- 日帰り登山なら大きなトラブルは起こらない
しかし現実は全く異なります。標高に関係なく、山間部では電波状況が不安定になることが珍しくありません。
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山でのスマホ圏外率の衝撃的な実態
実際の山でのスマホ圏外率は、多くの人が想像するよりもはるかに高いのが現実です。
主要キャリアの山間部エリアカバー状況を比較すると、以下のような傾向が見られます:
通信環境 | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
---|---|---|---|---|
登山道入口 | ○ | ○ | ○ | △ |
中腹エリア | △ | △ | △ | × |
山頂付近 | × | △ | × | × |
※○:良好、△:不安定、×:圏外率高
特に注意すべきなのは、谷間や北斜面では電波が届きにくいという点です。
人気の登山コースでも、ルートの約3割から5割程度で電波状況が不安定になると考えておくべきでしょう。
さらに問題となるのは、登山者の多くがこの実態を知らないことです。
圏外で起こりうる深刻なトラブル事例
スマホが圏外になることで発生する問題は、想像以上に深刻です。
実際に起こりうるトラブル事例を具体的に見ていきましょう。
道迷いからの遭難リスク
最も危険なのが道迷いです。
ゆる登山では地図アプリやGPSアプリに頼る登山者が多く、圏外になると現在位置が分からなくなってしまいます。
特に夕方以降に道に迷った場合、暗闇の中で行動することになり、滑落や怪我のリスクが急激に高まります。
緊急時の連絡手段喪失
山での事故や急病時に、110番や119番への通報ができない状況は致命的です。
軽いけがだと思っていても、山では症状が悪化することがあります。早期の連絡ができないことで、救助が遅れる可能性があります。
下山予定時刻の連絡不可
家族や友人への安否確認の連絡ができないことも大きな問題です。
予定時刻を過ぎても連絡が取れないと、家族が心配して警察や消防に通報する事態にもなりかねません。
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山でのスマホ通信対策と必須の準備
圏外リスクに備えるための具体的な対策をご紹介します。
事前の電波エリア確認方法
登山前には必ず各キャリアの電波エリアマップで通信状況を確認しましょう。
以下の情報を事前にチェックすることが重要です:
- 登山ルート全体の電波状況
- 主要な分岐点での通信可能性
- 最寄りの電波が届く地点の把握
複数のキャリアの情報を比較することで、より正確な状況把握ができます。
圏外対応アプリとオフライン地図
オフライン対応の地図アプリは必須アイテムです。
事前に登山エリアの地図データをダウンロードしておけば、圏外でも現在位置や登山ルートを確認できます。
また、高度計や気圧計機能付きのアプリも併用すると、より安全に登山を楽しめます。
緊急時の代替通信手段
スマホ以外のバックアップ通信手段も準備しておきましょう。
通信手段 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|
衛星通信機器 | 全世界対応 | 長時間登山 |
登山用無線機 | 仲間との連絡 | グループ登山 |
ホイッスル | 音による救助要請 | 緊急時全般 |
完全な圏外エリアでも使用可能な手段を一つは持参することを強く推奨します。
まとめ
『ゆる登山』という言葉に油断せず、スマホの圏外リスクを真剣に考えることが重要です。
低い山でも電波状況は不安定になりがちで、適切な準備なしに山に入るのは危険行為と言えるでしょう。
事前の電波エリア確認、オフライン対応アプリの準備、代替通信手段の携帯など、基本的な対策を講じることで、安全にゆる登山を楽しむことができます。
山は私たちに素晴らしい体験を与えてくれますが、常にリスクと隣り合わせであることを忘れてはいけません。
準備を怠らず、安全第一で山歩きを楽しみましょう。